友達から返してもらった荷物の中身に、SABE『地獄組の女』1~4巻(全4巻)もあった。
今読み返して、印象も感想も全く変わらない。 それはその過激さがどうこうじゃない。テーマとドラマにやはり重みがある。一貫したものが通っている。 如何にもSABE氏的なおフザケは、勿論ふんだんにあって、地獄組に改造された主人公は、怪人バニー女―バニー・ガール姿の少女だし、平戦闘員は何故かバスケのユニフォームを着ていて、バスケット・マンと呼称される。 シリアスな残酷シーンも、ナンセンス・ギャグ漫画風のいい加減な絵で描かれたり、よくある、マジメなテーマもあるかも知れないが基本的にはギャグ漫画だ、な作品そのものの外観だ。 ところがこの作品は、そんなギャグ漫画的カオスをしれっと、それこそが人間の心の闇だ、本性だ、世の中だ、と断じ、狂った世界の描写として解釈してしまう。 その妙なリアリティーと空恐ろしさの要因に、登場人物に"マトモ"な奴が居ないというのもあるだろう。 冷静に客観視出来る奴等も居る、でも悪役だ。イカレた人殺しだ。 「キサマいったい今まで何人殺してきた!」「およそ一万二千人だ」 そんな悪党だからこその客観視で、だからこそ、 「元々調和って言われてるものだって生物同士が個々の種の繁栄と存続のために勝手にやり合っていたものが煮詰まってそうなったってだけのことだし」 とさらっと言えてしまう。寧ろ“マトモ”な奴が居ない世界観こそリアルなんじゃないか? ナンセンス・ギャグ、荒唐無稽な展開、いい加減な絵―それ等を以って成す決して曲がらない骨太のドラマ/テーマ。 これは、マイナー/エロ漫画シーンの鬼子、いや、そもそもSABE氏作品としても鬼子なんじゃないか?
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