前項で、是非を問わず存在するのみで強烈な批判となり得るものが存在する、と書いた。
ふと鶴見済『完全自殺マニュアル』もそうだったと思い出す。 かつて読んだ記憶だけで記すが、事実上自殺の方法を紹介・解説するだけのこの本は、自殺を望む者に、“あ、それなら首吊りが一番いいですよ。服毒はお勧め出来ない。割腹は絶対やめた方がいいですよ”と具体的に指南する訳だが、それは逆説的な自殺志願批判となる。 が、鶴見氏は、自殺という選択肢もアリだと示す事で、生き易くさせるという意図で書いたと語っていて、これは即ち、ともすれば自殺志願者をただ追い詰めるだけの自殺否定論への批判である。 自殺志願者と自殺否定論者という相反する両者への批判となり得るという矛盾が何故成立したかというと、この本が自殺志願者に生き易くさせるという目的を、何より実効を求めるが故の従来の社会通念を度外視した方法で行ったからだ。それは頭ごなしな自殺否定論者への批判となる。 真摯な本だった。
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