先日のコミティア(コミティア80)にてサークル東山神兵の新刊を買う。あらゐよしひこ『チャーリーの一方的な走馬灯』。
まず、後書きのコメントの印象から語ってしまおう。あらゐ氏の物言いが、珍しく冷静さを欠いている様に見える。これまで、どんなテーマについても一般論的な語り口から逸脱しない冷静さを保っていたのが、大量殺人者…今作の様なゲームの様に人間を射殺す類の殺人について語る時、興奮気味になっているのが興味深い。 ともかく、僕はいつもと違って、今回のあらゐ氏の語りにはちょっと共感出来かねる、と言うか距離を感じてしまう。 で、本編は―。 状況描写としては、通行人を高みから狙撃する大量殺人を描いただけで、氏の作品らしからぬ単純さであるが、社会通念も法も足枷にならぬ者の前で我々一般市民が如何に無力であるかが実も蓋も無く暴かれるのは確か。物理的には僕等は何からも守られてはいないのだ。 結局、僕は狙撃者(主人公)に感情移入出来ないので、そういう感想になってしまう。そういうものとして効果があった。 しかし、あらゐ氏の作品にいつもある痛烈な批評性は、今作に於いてはそこではないんじゃないか。では大量殺人者をそれたらしめる背景の何たるかを問題としたかったのか? 僕にはそれは伝わってこない。だから、「一方的な」って付いてる。結局、あらゐ氏はいつだって冷静でしかあり得ない。
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