この漫画はきっと、アフリカのあの国をモデルに描かれたに違いない。おっと、「この物語はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係なく、また、現実の国家情勢を反映している訳でもありません」と表4にあるんだった。
先のコミティア(コミティア81)でサークルNight-Marchenより購入した村山慶『アルンダ国の物語』は、幼少期に部族間の虐殺事件を体験した男の物語だ。 この国ではかつて、シス族とスヌ族との間で紛争が起こり、スヌ族によってシス族が大量虐殺された。戦後、「部族」は廃止され、身分証明書にも載らない。虐殺の過去と部族はタブーとなり、誰が何族なのかももう分からない…。 …のだが、主人公は隣人がかつて自分の部族シス族を虐殺したスヌ族であると偶然知ってしまう。しかし、自分の娘と隣人の娘はそんな事の関係無い「戦後世代」で仲良しだ。 主人公も「憎しみの連鎖」を止める事が正しいと知っている。しかし虐殺の記憶はトラウマであり、それは殺らなければ殺られるという強迫観念へと容易く変化し増幅する。 だがこのサスペンスはそれ程に常軌を逸しない。戦後日本の日常物語に戦時中の体験をトラウマとする者が登場する様なものか。 結局、何の変哲も無い物語なのかも知れないのだが、平和な現在のちょっと以前にそんな過激な事態が現実であったという事実が、重く胸に残る。 それと、もう一つ、僕にだけかも知れないが、新鮮な要素があった。アフリカ(と思われる地)で、黒人の父娘がリビングで団欒する図が新鮮だなんて。かつてアフリカ出身の人物が、黒人というとアメリカ人だと思われるのが解せないとテレビか何かで語ってたのを思い出す。明治以降の欧化政策の効果はなかなかにしぶとい様だ。ベルナール・アッカ氏もデイビット矢野氏(インテルのC.M.でバレリーナのマリエさんを演じた男性)もアフリカから来たのだというのに。
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